自民党本部で開かれた待機児童対策会議に出席しました。



座長の木村弥生議員をはじめ、稲田朋美政調会長田村憲久厚生労働大臣など自民党の国会議員が約20名出席していました。私は幹事役として、保育園待機を経験した友人数名、保育事故に詳しい弁護士や、この問題に関心を持ち発信を続けている男性のインフルエンサーと共に参加しました。


目標は3つありました


1)保育園に入ることの難しさ、入った後の問題を知ってもらう(保護者の声)
2)安全や最低基準という「質」をおろそかにして「量」を拡大するのは危険(専門家の声)
3)1)と2)から、保育園を質量ともに増やすには、予算を増やす必要がある(提言)


言い換えると、子ども向けの予算を数千億円単位で増やすという戦略目標に向けて、質量ともに必要であることを専門家から伝え、質量ともに足りていない現状を保護者の声を通じて伝える、という構成を考えました。


出席者の中で、特に保護者の方は泣き叫びたいような状況を経験したにも関わらず、冷静に事実を伝え、政府がやるべきことを論理的な話していました。報道機関顔負けの調査で自治体の「隠れ待機児童数」を調べ上げた上で、自治体独自の努力だけではこの問題は解決しないことを提示された方もいます。


良かったこと:女性の就労に対する男性議員の意識が変わった


1)2)について、出席した議員にはほぼ伝わった、と私は見ています。保護者4名の発言を聞く議員の表情、うなずき方に加え、議員の発言もそれを裏付けています。特に、東京・大阪・福岡など大都市選出の議員は、保育園不足問題の深刻さを知った上で、どうするべきか、具体策まで踏み込んで「今やっていること」「これからやりたいこと」「制度変更(用地使用などで)で改善できること」を突っ込んで意見交換できたと思います。


会議は17時〜18時を予定していましたが、18時20分すぎまで続き、元厚労大臣の田村憲久議員と、この問題の対策会議座長を務める木村弥生議員は19時近くまで保護者・専門家と立ち話で議論してくれました。特に、メディア戦略家の境治さんが提起した、保育園建設反対運動に高齢者が多いという事実を踏まえ、子どもを歓迎する社会をつくるために何をしたらいいか、という下りが印象に残っています。


いちばん驚いたのは「働きたい女性が働けないのはおかしい」と言う男性議員が複数いたことです。背景には「1億総活躍」や「女性活躍推進」の流れがあります。本音がどこにあるにせよ、公の場で「このように言わなくてはいけない」という規範ができつつあることは、進歩だと思います。やはりトップのコミットメントとメッセージは効果的だと分かります。


今後の課題:子ども予算を増やす動きはこれから


3) については頭出しできたものの、まだ半歩踏み出したところ、という認識を持ちました。多くの議員が予算について触れており、問題の本質が予算であることは分かっているようでした。


そうなると、次の課題は子ども政策の優先順位を上げることになります。昨日は目視で数えた出席議員が約20名でした。70名収容の会議室は報道陣含めほぼ満員で熱気は感じました。ただ、冷静に数字を見ると自民党議員の総数に占める本会議出席者割合が多いとまでは言えないでしょう。出席した議員の発言がきわめてまっとうだったのは、そういう議員だけが集まった、と考えることもできます。


今後の課題は昨日の会議に出席しなかった議員や閣僚にいかにして「子ども優先」をインプットしていくか、ということになるでしょう。そのためには共働き家庭の就労支援+子どもの教育目的の保育園拡大に留まらず、子どもの貧困対策や、家庭で子どもを育てる行為の再評価といった広い視点が必要だと私個人は考えています。


今回、ご自身は片働きで大黒柱を務めてきた男性の境治さんが、働く母親を強力に応援してくださったように、働く親が自分の子とは違う環境で育つよその子の未来も考えられるかどうか。より広い視点で子ども優先の社会を作るために動くことができるかどうか。そして、自分たちの主張は子どもを持たない人にも説得力を感じてもらえるものなのか。そんなことを考えつつ進めていきたいと思います。


最後に、お名前は出せませんが、今回の会議開催にあたり、親と与党をつないで下さった方に心よりお礼申し上げます。私は現実を変えたいし変えられると思っているので、理想を忘れないようにしつつ、これからも現実的に動いていくつもりです。