大学時代のゼミの先輩にご招待いただいて、法学部生向けにジェンダーの話をしました。刑法、憲法などを専攻している学部学生40名ほどが対象。
manabaという大学でよく使われているITシステムの機能を使い、私から参加者に質問をして、その結果や自由記入意見を見ながら講義を進めました。例えば、最初に「将来、誰かと一緒に暮らしたいですか?」と尋ねると、ほぼ全員が「イエス」と答えていました。結婚か同棲か、別の形態かは問わず、一人暮らしを希望する人は少なかったですが「他人と一緒にいるのはわずらわしい」という意見もあり、それもそうだな、と思いました。
次に「日本は男女平等だと思いますか?」と尋ねると、大半が「ノー」でしたが、興味深いのはその理由です。必ずしも「女性が差別されている」という意見だけではなく「男性が差別されている」と感じている人も少なからずいるようでした。
この辺りで、世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数について解説し、配布資料を見ながら日本で女性のリーダーが少ない実態について話しました。一方で、こういうマクロな数字の話は日常感覚ではピンとこないことが多いのも事実です。
そこで、私が大学生だった頃に見聞きしたことをお話しました。例えば「女子は四年制大学より短大に行った方がいい」とか「女子は浪人しない方がいい」と、かつては言われました。就活の時に「女性は事務職、男性は企画や営業」と言われたこともあります。大企業で総合職は男性、一般職は女性と職種を分けているところも珍しくありませんでした。
また、法学部生ということで、人権について学んだことを生かして、周りの人が困っていたら助けてあげてほしい、というお話もしました。かつて、電車の中で痴漢をつかまえたり、DVに遭っている友達と一緒に警察へ行った時、大学で法律の勉強したことが生きたからです。
小中高校まで、男女差を感じたことが「あまりない」という人が多かったので、社会が変わってきてよかったな、と思いつつ「男の子は重いものを持っていた」とか「飲み会の時に男子が多く払う」という話を聞きました。
私は昔から割り勘派ですが、この辺りは女性がどこまでの平等を求めるか、という意識の問題にもつながってくると思います。
最近の講演では、事前に作ったPPTを資料として配布し、それを投影して話すことが当たり前になっていますが、このようなIT設備があると目の前にいる人の意識、考えを軸に講演を組み立てられていいな、と思いました。今後にも生かしたいです。