Beyond Work-Family Balance: Advancing Gender Equity and Workplace Performance (Jossey Bass Business & Management Series)作者: Rhona Rapoport,Lotte Bailyn,Joyce K. Fletcher,Bettye H. Pruitt出版社/メーカー: Jossey-Bass発売日: 2001/12/11メディア: ハードカバーこの商品を含むブログ (1件) を見る毎日


基本的な数値データを探したり、関連書籍を読んだり。”Beyond Work-Family Balance --- Advancing Gender Equity And Workplace Performance”という本に面白いことが書いてあった。


この本は副題にある通り、職場で男女平等を進めることと、生産性を上げることを同時に達成できることを示したものだ。子育て支援など「ファミリーフレンドリー」な施策は、従来の性別役割分担を固定化したままで導入しても女性の社会的地位向上には役立っていないようだ、という反省が根っこにはある。


著者たち(4人の共著)は、マッチョであることが評価される明文化されていない評価システムに注目し、これを改善するための方策を考案し複数の企業で導入した結果を本書で紹介している。コンセプトに賛成できることに加え、私が面白いと感じたのはアメリカ企業が抱えている問題点も日本企業と似通っていることだ。


ある管理職(技術者)は「どんな部下が私にとって最高か分かってますよ。夜になっても『もう帰る時間だ』って分からないような人たちです」と答えており、労働時間の長さと仕事の成果が直接結びついているという考えが表れている(49ページ)。


別の企業では仕事の指示を出された時、指示内容に関して確認するような質問をするとやる気がないとみなされるという。言われたらすぐに、要望の範囲を限定しようなどとはせず、考えられるシナリオ全てに対応できるように働くことが求められるのだ。当然、無駄が生じるが、これを無駄と考えるようでは「やる気がない」とみなされる(29ページ)。


これって日本企業の話!? と思わず笑ってしまった。「うちの上司は家庭に居場所がないから、土日も出社するし部下にもそれを強要するから迷惑」とか「夜中の12時くらいに何となく会議みたいなのが始まって、そこに出ていないと重要な決定事項が分からない」といった愚痴を日本では色んな人から聞いてきたけれど、この本に書かれている問題の根っこにある価値観「長時間働く人ほどエライ」は全く同じだ。


渡米前は「調査しても、アメリカの状況が進みすぎていたら日本ではあまり参考にならないかも」と心配だったのだけれど、同じ課題を抱えていると知って逆に安心した。