ワーク・ライフ・バランスは人権の問題


会議では「女性のための労働相談」、「ハラスメントを中心とした労働相談事案とその対応について」というテーマで、労組女性幹部や弁護士の方のお話も聞くことができました。


ここであらためて勉強になったのは、WLB、仕事と家庭生活の両立を可能にする環境整備は、労働者にとっての権利である、ということです。女性の社会進出を経済合理性の観点から論ずることは、ここ数年の政策トレンドになっています。少子高齢化が進み人口が減少する日本では女性の活用が不可避。産み育てながら働き続けるためにはワーク・ライフ・バランスの推進が必要というロジックを耳にする機会が増えました。


このような経済合理性に立脚した論の展開は、経営者を説得するのに有効です。けれども、それだけでいいのか、という疑問が残ります。ブラック企業で働き苦しんでいる若い人たち、マタハラを受けて仕事を辞めざるを得ない状況に追い込まれる妊婦たち。こうした問題の根っこには「ワークライフバランスは経営に役立つ」というロジックではカバーしきれない人権の問題があります。


今「女性と経済」の問題はまさに盛り上がってきています。そういう時だからこそ、一歩先を考えたい、と思いました。仕事と家庭生活の両立は、働く人のささやかな目標であり、先進国として当たり前に目指すべきものである、ということを。