クリントン政権の顧問もつとめた米国の政治コンサルティング会社が、南米のボリビアで大統領候補に雇われる様子を描いたドキュメンタリー。

コンサルタントの雇い主は米国育ちの元ボリビア大統領。国家財政立て直しのため、国有企業の民営化をした経験がある。米国人コンサルタントは、候補の広告宣伝を作り、対立候補へのネガティブキャンペーンを行い、その都度、有権者へのインタビュー調査をして効果を測定する。彼らのクライアントは、2人の対立候補を僅差で破るが、就任後わずか14ヶ月で辞任するはめに。経済立て直しのため、天然ガスを輸出しようとしたところ、ボリビア人の財産を外国に奪われると思い込んだ民衆が大暴動を起こしたためだ。

興味深かったのは、コンサルタントの1人が外国に民主主義を根付かせることがビジネスになる、と話していた場面。通常、途上国の政治を民主化するような"仕事"はアメリカなど先進国の軍事力や国連、またはNGOの役割と思われるが、彼らはこれでお金儲けもできるという。

でも、彼らはアメリカ型の論理的な戦略でクライアントを選挙に勝たせることはできるが、民衆の感情までは読みきれなかった。失業や貧困問題を解消するため、天然資源を輸出するというのは正しい解決策に思えるが、ボリビア有権者はこれを外国に自国を売り渡す裏切りとみなしたからだ。

日本をはじめとする先進国では暴動まで起きないけれど、本当にどんな政策が良いかではなく「何となく」で投票しちゃうことがやはり多いと思う。この間の選挙で自民党が圧勝した時、郵政民営化が何のことかわからずに「彼なら変えてくれそう」みたいに話していた人が周りに何人かいたし。

ところで、こういうミニシアター系の映画を、今はとても安く見られるのが嬉しい。通常8ドルのところを、学生証を見せると何と6.75ドル。レンタルビデオ並だ。