10日も朝から会議に出席。午後3時から私を含む5人の外国人たち(台湾、タジキスタン、カナダ、インド)が発表をした。


私は日本の職場における女性の地位がこの20年間でどう変わったかを話した。管理職の女性割合が低いことや男性の家事時間が少ないこと、非正規労働者に占める女性割合が高いことなど、国内でよく指摘される問題を紹介した。


限られた時間に不特定多数の外国人に何を話すか考えるのは骨が折れた。問題点だけを話すと「日本は遅れている」という誤ったイメージを持たれてしまい、それは本意ではない。アメリカ人の聴衆に日本の良い面も伝えるため、育児介護休業法(1991年)と次世代育成支援対策推進法(2003年)を紹介した。


前者はアメリカにもFamily and Medical Leave Act(1993年)という同趣旨の法律があるので理解されやすい。しかも日本の方が2年早く成立している。次世代法は「ワークライフバランス推進法」と説明すれば分ってもらえるし、ここまで政府が介入するのはアメリカ人から見ると先進的に映るはずだ。


話を分かりやすくするために、いくつか写真を見せることにした。制服を着たOLのイメージ写真と、彼女たちが男性社員の花嫁候補であったことを示す結婚式の写真、クリスマスケーキの写真を用意した。かつて女性は12月25日を過ぎると価値がなくなるクリスマスケーキと同様、25歳を過ぎると結婚市場で価値がなくなると言われていたことを紹介した。


幸い会場の人はノリがよくてため息をついたり笑ったりしてくれ、何人かは「クリスマスケーキが良かった」と言ってくれたので、パワーポイントと何時間も格闘したかいがあった。


今後の課題は日本の企業社会の良い面を現場目線で伝えるプレゼンを考えること。長時間労働や女性管理職比率の低さなど、数字だけを取ると日本企業の遅れたイメージばかりが伝わってしまう。実際、働いてみると分かるが、男性管理職の労働時間の長さは部下の指導に時間を割くことを厭わない親切さからくることも多い。私自身、時間を気にせず原稿を直してくれる上司たちのおかげで何とか仕事を続けてくることができた。彼らの奥さんは大抵、専業主婦である。私の仕事上の成長は、ある角度から見ると性別役割分担をしている人々によってもたらされていると言える。


3月上旬にはペンシルバニアのカレッジで開かれる国際女性週間に招かれて、2つ講演をする。その時はこうした「現場から見た日本人の働き方」を話してみようと思う。


写真は会議場からクルマで約1時間のところにあるClear Waterという街の海辺。会議が終わった後、ルーカス教授が夕食を兼ねてドライブに連れて行ってくれました。彼女は親戚の叔母さんのように親切に面倒を見てくれて、アメリカ人のホスピタリティーを感じました。