日曜から水曜までピッツバーグ(Pittsburgh:写真)に滞在。

連れ合いと一緒にINFORMSという技術・情報工学系の研究者が集まる学会の会場に来ています。大学教授、博士課程の学生や、マイクロソフト、ヤフーなどIT企業に所属する研究者など4000人が集まっています。

私は知識ゼロの分野なので会場の様子を横目で見ながら、のんびり読書でもしようと思っていたのですが、今日の夕方に興味深いセッションがあったので聞いてみました。テーマはワーク・ライフ・バランス。技術系の大学教授たちが仕事と家庭役割の両立について体験談を語りました。

会社員から転じて研究者になり、3人の子供を持つ女性教授は「子育て経験のおかげで学生へのアドバイスも上手く出来るようになりました。学内政治はティーンの子供を育てるのに似ていて、それよりも大変です」と話しました。双子の父親であるもう1人のスピーカーは、妻も同じ分野の研究者で指導教官まで同じ。「研究者カップルはワーク・ライフ・バランスを取りやすいと思われがちです。でも私の場合、仕事でも私生活でも妻と顔を合わせるので息が詰まった時期もありました」と話しました。もう1人のスピーカーも男性教授で、数カ月に1回、妻と家事育児分担のスケジュールを組んでいるそうです。

印象的だったのは、ワーク・ライフ・バランスは男性の問題でもあると認識されていたこと。日本でこの種のセミナーに参加すると、スピーカーも聴衆もほぼ全て女性です。今日のセッションは3人いたスピーカーのうち2人が男性、30人余りいた聴衆のうち約3分の1が男性でした。アメリカ女性がプロフェッショナルなキャリアを追求しながら子供を複数持つことができる背景には、男性の意識変化があるはず、との認識が強まりました。

夜はカーネギー美術館でレセプション。豪華な彫刻コレクションを眺めながら食事をした後は三々五々、館内を回り、絵画やインテリアのミニチュア、ティファニーのガラス細工で目の保養をしました。

ところでピッツバーグはこれが初めてなのに、空港から市内に向かう途中、窓の外を見るとなぜか懐かしい感じがしました。景色が日本に似ているのです。道路の幅が狭く、坂や小高い丘が連なっている風景は八王子や奥多摩あたりを彷彿させます。今、住んでいるミシガン州では広い道路が平らな大地をどこまでも走っています。地平線の向こうまで見渡せるミシガンの景色を眺めていると、いやでも外国暮らしを実感します。もし、ピッツバーグに住んだら、ふとした瞬間にここが外国であることを忘れるかもしれないなと思いました。