ひょんなことからブッシュ支持の人たちと話す機会があった。

専業パパの会議で夕食会に向かうバスの中と、帰りの飛行機で隣に座った相手。無関係な場所で会った出身地も異なる2人から同じような意見を聞いたのが興味深い。共通点は2人とも成功したビジネスマンで50代であること。政治とは無関係のことを話していたら「ところで、北朝鮮核武装について危機感を感じますか」と尋ねられた。

こういう話題は相手の政治的好みを知る良いきっかけである。「日本のメディアは政治経済への影響を報じますが、人々の生活は普段と同じ。北朝鮮は日本を攻撃したいというより、対中・対米交渉の切り札として核を持ちたいのだと思います。『日本を攻撃する』という脅しは中国には効かない。アメリカがどこまで関心を持つかが重要だと思いますが、どうでしょう」。自分の意見を入れつつ聞いてみた。

面白いのは2人の話が、北朝鮮から日米関係の親密さ強調につながっていったこと。1人は機内誌に載っている世界地図を取り出して日本の地政学的重要性について説明し始めた。ドミノ理論である。「でも、共産主義の大国だったソ連はもうないですよね」と私が言うと彼は「中国が脅威だ」と強調していた。

ここまで話せば「ところで中間選挙の結果をどう思いますか」と尋ねるのも自然だ。「メディアはイラク戦争のことばかり報じていますが、実際、人々はどう考えているんでしょう」と言えば率直な意見を聞ける。

2人とも共和党が負けたことに不満である。「アメリカ人は我慢強さが足りない」「共和党コミュニケーション戦略を誤った」と言う。コミュニケーションについては、大統領選挙に負けた後、民主党支持者たちも同じような意見を書いたり話したりしていたのを思い出す。敗因は似たようなところに見出すようだ。

そもそも彼らと話し込んだきっかけは2人が親日だったためだ。駐在経験のある人は「日本のサービス水準は世界一だ」と語り、別な人は「日本文化への敬意が最近、高まっている」と言っていた。自国を褒められれば私も嬉しいのでアメリカについて好きな点(知らない人にもオープンで、エライ大学教授でも全然威張っていなくて、大学教育の質が高い)を話すことになる。こうして信頼感が生まれたところで偶然にも、彼らがブッシュ支持だと分かった。

共和党親日民主党は親中だと聞いてはいたが、個人レベルで経験すると感慨深いものがある。私は日本人だから親日政権が望ましいけれど、ブッシュ政権が好きとは言えそうにない。アメリカでは選挙権がないから意思決定の必要はないが、なかなか複雑な気分だ。