今日はフルブライト主催の美術館ツアーに参加した。


ミシガン大学に籍を置くフルブライターとその家族25人が大学のロゴ入りバスに乗り、遠足気分で高速に乗ること1時間、オハイオ州のトレド美術館に到着した。


最初にこの夏出来たばかりのガラス・センター(写真)を解説付きで回る。エジプトの古いガラス器、ベネチアンガラス、金箔やエッチングを施したワイングラス、巨大なガラス製テーブルなどを見た。展示品の美しさもさることながら、大きなガラス板で構成された建物自体が綺麗で見ていて飽きない。日本の建築家・妹島和世氏と西沢立衛氏が手がけたそうだ。


昼食後は自由行動で、絵画などが展示してある美術館を見て回った。私が面白いなと思ったのは19世紀のアメリカ人たちの肖像。歴史に名を残してはいないが富裕層だった人々を描いたものが特に興味深かった。説明書きによると、当時は英国風の肖像画が流行していたそうだ。英国の人気画家はあらかじめ人物像のデッサンをいくつも用意しておき、顧客の要請を受けると顔と服を描き分けていたという。背景はイングランドの農村風だったりして、脚色されているものもある。今の日本でいえばエステの後でヘアメイクをしてもらった上でプロに写真を撮ってもらうような感じかもしれない。


今日のツアーでもうひとつ面白かったのが、キルギスタンの大学教授との会話。私が「日本人とキルギスタン人は顔立ちがそっくりですよね。でもキルギスの人の苗字はロシア風なので日本人とは全く違いますね」と言うとこんな話をしてくれた。彼(たぶん50代後半)の祖父はもともと「L」で終わる苗字だったのだが、ソ連時代の役人にパスポートを書き換えられ「LOV」で終わる苗字に変えられたという。今も彼の苗字はロシア風に「LOV」で終わっている。ソ連創氏改名と同じようなことをやっていたのだ。およそ他国を支配しようと考える時は似たようなことをするのだなと感じた。ソ連崩壊後、キルギスタンの若者の間では非ロシア風の苗字に戻す動きが見られるという。


気さくなおじさんだったが、話の行間からは母国ではかなり偉い先生らしいことが伝わってきた。JICAは空港建設で活躍したとかアジア開発銀行の一番の資金の出し手は日本だとか、北方領土問題など他の国の人は到底知らなそうな話題が出てきて面白かった。こうして色々な国の人に米国滞在を通じて出会えることが、アメリカのすごいところだなと思う。