ワシントンDCでGlobal Diversity Forum という会議 に参加した。


米英企業でダイバーシティ推進担当者が集まる。私は日本企業におけるジェンダーダイバーシティについて1時間、発表をした。この2、3年で流行語のようになっている"ダイバーシティ"、日本では"男女平等"を非政治化するための言い換え用語のようになっているが、欧米に目を向けるとその意味合いは少し違う。


米国では人種や性的指向、欧州では高齢者やEU新加盟国からの移民労働者の問題が議論の中心だった。会議の参加者はグローバル企業のディレクターやヴァイス・プレジデント。24人中、8人が男性、11人がアフリカ系、3人がアジア系と確かに多様な顔ぶれだ。欧州では性差別を感じる人が意外に少ないらしいとか、中国でHIVポジティブの人が採用差別を受けたとしてノキアを訴えているなど、話題は多岐にわたった。


私は、①ここ数年、日本企業が急にダイバーシティ関連部門を設けていること、②共働きカップルのワークライフバランス事情の日米比較、③日本女性のライフコース、④飲み会の本当の意味について話した。


2月からこれまで、類似のテーマで6回、話したことになる。まだまだお世辞にも上手いとは言えないが、実は話している最中はあまり緊張しなくなった。頷いたり笑ったり、質問したり、アメリカ人は反応が見えるので結構、楽しいのだ。特に家事育児分担は万国共通の話題なので、切り出した途端に笑い出す人、自分の体験を話す人もいて盛り上がる。よほどひどくない限り「すごく面白かった!」と言ってくれるので、話し終えた後も安心できる。もちろん、これは褒め殺しともいえる文化のためなので、真に受けてはいけないのだが。


ある企業のヴァイス・プレジデントからは「日本でもビジネスの観点からダイバーシティが話題になっていると知って驚いた」と言われた。この人が日本支社でダイバーシティ推進をしようとしたら、現地の管理職に「日本では話題になっていない」と言われたそうだ。おそらく仕事を増やしたくないから嘘をついたのだろう。製品や営業に直接関わらない、こうした話題では意外に本社に正確な情報が伝わらないのだなと思った。