食べ物と人以外に、リヨンで印象に残ったもの。


"Le Centre d'Histoire de la Resistance et de la Deportation(抵抗と国外追放の歴史センター:写真)"。


第二次大戦中、親独政権下のフランスで抵抗運動を続けた人々を紹介している。当時リヨンは抵抗の拠点だったそうだ。ナチスプロパガンダに対抗し、こっそり新聞を発行した人、親を奪われたユダヤ人の子供をかくまった教師など。民主主義のため、人種差別反対のため、愛国主義のために立ち上がった人々の顔写真と紹介文が延々続く。


私は「巨悪に戦う個人」という切り口に弱い。だから展示を見ていて涙腺がゆるむことがしばしばあった。


反ナチを呼びかけたのは英国に亡命したシャルル・ドゴールだったが、それに応えた個人の勇気が重要なのだ、といった表現。若い活動家が多く、3分の1は30代以下、残りの3分の1も40代半ばに満たなかったという事実。女性比率は公式には10数%だったが、実際は夫や恋人に協力する形でもっと多くの女性が関わっていたという解説。ナチスの人種差別主義に反対し、様々な人種・国籍の人が抵抗運動に参加していたということ。


彼らの多くが捕まって処刑されたり、拷問の末、殺されている。


「勇気があって格好いいなあ」と思う一方で、居心地の悪さを覚えた。全く躊躇せず自国の英雄たちを肯定する展示。これは勝者の視点で編集された歴史だ。米国で空軍博物館を見たときと同種の落ち着かない感じがあったのも事実だ。