そろそろ帰国が近づいたので、この街でやり残したことを順繰りにためしている。


今日はキャリア・カウンセリングを受けてみた。私が客員研究員として所属しているCenter for the Education of Womenの役割は大きく言って3つあり、そのうちの1つがカウンセリングだ。


持ち込まれる相談案件を分析して課題を炙り出し、センターとして取り組む調査テーマを決める。調査はセンターがもつ2番目の機能である。私が所属しているのは、この部門だ。最近の重点課題は女性研究者とテニュア(終身在職権)について、また有色人種女性の状況を聞き取りしているようだ。調査結果を元にセンター長が、ミシガン大学の副学長にアドバイスをする。これが3つ目の機能である。


カウンセリング・リサーチ・アドボカシー(政策提言)それぞれが結びついて女性研究者・女子学生の地位向上を目指しているのだ。根底には「高等教育こそが女性の自立と地位向上につながる」という信念がある。実際、アメリカでは大卒以上の学歴があるか否かで「食べられる」職を得られるかどうかが決まってしまう。


私は今のところは、仕事は面白いし、上司は家族・同僚は友達みたいだし所得水準も恵まれている。アメリカで学んだことは、すぐにでも帰国後に生かせる。でも、就職氷河期世代としては「いつまでもこんなハッピーな状態が続くわけはない」と不安なのも事実。そこで今日は中長期的なアドバイスをもらうことにした。


カウンセラーは私の隣の部屋にいるキャロライン。大きな声でよく笑う明るい女性だ。事前に秘書にアポを取り、専用の用紙に記入する。名前や年齢、家族構成や学歴、職歴など。相談内容についても細かく記す。初対面でも用紙を見れば、すぐに状況がつかめる。


まずは仕事と私生活両面について現状を話す。「どうしたらよいか」と尋ねると「何をしたいのか」と聞き返される。「得意なこと、やりたいことをやるのが一番いい」というのが基本なようだ。私の場合、やりたいことと制約条件、必要なスキルが明確なので「中期的に何をすべきか」については予想通りの答えだった。ただ長期的なことについては、これまで私が想像もしなかった可能性を提示されて目からウロコが落ちた。さすがプロである。


もうひとつ、今日ためしたのは、近所のシーフードレストランで割引してもらうこと。7年前に初めて来て以来、数え切れないくらい訪れている。実は誕生日に食事をすると半額になるのだが、これまで来る機会がなかった。ちょうど今日、連れ合いが博士論文を提出したので、そのお祝いも一緒にやった。


家に帰ってみると、日本に住む両親が私の誕生日と彼のPh.D.取得祝いに送ってくれた花(写真)が届いていた。