仮住まいは靖国神社のすぐ近くにある。


午前中ちょっと様子を見に行ったら、予想外に人出が多い。神社の周囲に右翼の街宣車が並び、それを警官が見張っている。遊就館の前を時折、黒塗りの車が境内の方に入っていく。たぶん、国会議員だろう。


元兵士や宗教系の旗を掲げて団体で参拝する人、個人で訪れる人。ざっと見た感じで半々くらい。小さな子供連れの若い夫婦やカップル、学生風の人なども。一目で外国人と分かる観光客の姿もちらほら。


毎年、メディアが注目するのは首相や政治家が参拝するか否かだが、こんなにたくさん、普通の人が来ているとは知らなかった。私服警官がいたるところに立っている。イヤホンをつけて真剣な顔で周囲を見ながら、携帯電話で連絡を取り合っているのですぐにそれと分かる。


数年前ならこの人出を見ただけで「軍靴の音が聞こえる」と思っただろう。けれど今日は、なるほど・・・と淡々とした気持ちで眺めている。同じような光景は外国にもあるし、自分と違う考えの人が世の中にはたくさんいると分かったからかもしれない。