夕方便でミシガンに帰るまで時間があったので、アーリントン へ。


広すぎて歩くと大変とガイドブックに書いてあったので、7ドルで敷地内を回ってくれるガイド付バスに乗る。ケネディの墓など数カ所ある見どころで降り、好きな時間に次便や次々便に乗れる。


戦没者を国家が祀るという意味で、アーリントンは靖国神社と比較して語られることも多い。こじれにこじれた靖国問題を思えば、アーリントンでは複雑な気分になるだろうと予想していた。「勝った国は気楽だな」とか。


ところが、事前に考えすぎたせいか行ってみたら何とも思わなかった。よく手入れされた緑の芝生に、白い墓石が整然と並んでいて、お墓というより広大な公園という感じ(写真)。天気もいいので散歩すると気持ちがいい。特に、第一次大戦より前の時代の人の墓碑は、もはや政治と無縁なので中立的な気持ちで眺められてよかった。ずいぶんたくさんの人が生きていたんだなと、しみじみする。


政治的興味をそそられたのは、入り口近くにあった女性軍人に関する記念館(Women in Military Service for America Memorial)。展示室は会議に使っていたので見られなかったが、ギフトショップの品揃えに目を見張った。米軍と女性に関する書籍、軍が女性をリクルートするために作ったポスターと同じデザインの絵葉書やピンバッジなどが所狭しと並んでいた。


絵葉書には制服姿の女性のイラストに、"THIS IS MY WAR TOO!"とか"Gee!! I wish I were a man. I'd join the navy."とか"Don't miss your great opportunity.."といったフレーズが添えられている。いかにもフェミニストが好みそうな「女性にも男性と同じ機会を!」というニュアンスの文言だが、それを軍隊が使っているのが皮肉だ。


アメリカにも「女は専業主婦になるべき」と考えるタイプの保守派がいる。一方で、軍隊の一部に見られるように、進歩的なアプローチで女を取り込んでいくという戦略を取る人々もいる。女性の社会進出といえば日本では政治リベラルの専売特許だが、アメリカでは事情が違うので面白い。