本書は、女性だけでなく男性にとっても利点がある「新しいフェミニズム」を提唱したものである。


著者のシェリル・サンドバーグFacebookのCOOで2児の母であることは、日本でも広く知られており、彼女がTEDで行ったスピーチ「何故女性のリーダーは少ないのか」は、日本語字幕付きで公開されている


「新しい」といっても、日本において、イクメンブーム以降、広まっている男女ともに育児をしながら働こう、という考え方を共有し、すでに実行している人にとってみれば、しごく真っ当でオーソドックスな主張であろう。


本書の趣旨は、真に平等な社会を作ろうという提案であり、そのような社会においては「社会の半分は女性がリードし、家庭の半分は男性がリードしている」と著者は記す。日本でなじみのある用語で表現すると、男女共同参画の必要性とメリットを、グローバル企業の経営者が、職業人・家庭人としての経験に基づいて記したものということになる。


このように書くと、「政治的正しさ」を主張する面白味に欠けた内容と思われるかもしれないが、それは間違いだ。著者の具体的な失敗経験が散りばめられることで、本書は「すごいけれど現実味が乏しい、スーパーウーマンの成功物語」ではなく、生き生きとした読み物になっている。