小さい子をケアする先生の高い技能


小さな子どもはじっとしているのが苦手です。ちょろちょろ動き回るのが彼・彼女らの基本動作。その上、気が向かないことは、指示されてもやらない。一方、興味を惹かれると「自分の番」でなくても、つい体が動いてしまう…。


保育園や幼稚園や小学校の先生方は、そういう子どもの特性を理解した上で、子ども達が楽しくなって、やりたくなるような話の運び方をします。月に1回開かれる、息子の学校の授業参観では、工夫をこらした教え方に、いつも感心しています。普通の公立小学校ですが、担任の先生は、大学等で推奨されている「アクティブラーニング」を取り入れているような印象があります。


そして一昨年春まで通っていた保育園の担任の先生は、人並み外れた観察眼と表現力の持ち主でした。現場一筋数十年。先生が書いて下さる連絡帳のコメントは、絵本や詩のよう。子どもの何気ない言動を見事に言語化していて、本当に勉強になりました。日々起きる小さな変化を見逃さず、褒める。人の良いところを見つけ、言語化する技能の高さに感心しました。保育園の良い先生は、総じて、企業管理職向けの研修をやっていただいたらいいのに、と思う方ばかり。


そう。小さな子どもの世話をする仕事=ケアワークは、誰にでもできる簡単なこと、ではありません。つまらなければそっぽを向かれる厳しい環境で注意を喚起する能力。ひとりひとりの良いところを見つけて伸ばす観察力。さらに、それぞれの変化や進歩、それを生み出すものに気づく分析力。良い先生が与えてくれるケアは、単なる「子守」ではなく、立派な早期教育なのです。


子どもに教えるのが得意ではない「先生」の存在を間近に見たことで、これまで「ケア」してくれた先生達が「何をしていたのか」気づくことができました。


保育園や幼稚園の先生は、きちんとした専門職として認められるべきですし、それなりに高い報酬を受け取る資格がある、とあらためて思いました。それと同時に、家庭で高い質のケアを自分の子どもに提供している、専業ママ・パパの「仕事」を社会がどう評価するのか、あらためて考えなくてはいけない、と思ったのでした。