子どもの入学&進級祝いを兼ねた春休み家族旅行。



松本の温泉旅館に泊まり、車で安曇野ちひろ美術館へ行きました。良く晴れた日で、道中、目の前に広がる山々が絵画のように美しかったです。



美術館には、いわさきちひろさんの作品や人となり、子ども時代やご両親のことも分かる展示がありました。


展示によれば、ちひろさんのお母様は、ワーキングマザーだったそうです。奈良女子大の第一期生で、結婚出産後も女学校の先生を続けています。ちひろさんはお母様が働く学校に通い、女子にも賢さや学びを奨励する教育方針のもと、学校生活を送ったと書かれていました。


後に、司法試験勉強中の夫と子どものため、ちひろさんが、筆一本で家計を支えた時期があったそうです。性別役割分担にとらわれないライフスタイルは、自身の母がお手本だったのかな、と思いました。


可愛らしい子どもの絵を描き続けたちひろさんが、ご自身の作風について悩んだ時期について、書かれた資料も印象に残りました。時は1968年。労働者のために描きたい、と思っていたちひろさんは、自分の絵に甘さがあることを、気にしていたようです。政治の時代には、政治的に見えない「子どもの絵」がそぐわないように思えたのかもしれません。


ただ、半世紀経ってみると、「子ども」というものが持つ素晴らしさを描き続けたちひろさんの作品に普遍性を感じる人が多いのではないでしょうか。過度に時代に合わせず、本当に描きたいもの、描くべきと思えるものを描くことが、長期的な価値の形成につながるのかな、と思いつつ様々な展示を眺めました。


美術館は広い敷地に建っていて、前には池があります。池にはメダカ等の生き物がたくさん。敷地内には『窓ぎわのトットちゃん』が通ったトモエ学園の校舎を模した電車の車両があり、そこは地域の子ども向け図書館になっていました。