アメリカに来て驚くことのひとつが、接客業に携わる人のやる気のなさだ。


買い物したとき、サンキューも言わない人が珍しくないし、余分なことは一切したくないという態度が見え見えの人が少なくない。勤務中におしゃべりしていたり、ガムをかんでいたり。この間、フィラデルフィアでクルマを借りようとしたら、閉店時刻ぎりぎりに店に入ったため「今日はもうおしまい」と言われてしまった。と言っても私たちは事前にインターネットで予約をしてあったし、閉店時には店内にいて順番待ちをしていたから、日本のサービス基準で言ったら、何も問題はないはずだった。


問題はカウンターで働いていた、やる気なさそうな女性だ。
借りた車をとめてある場所をたずねたら「エスカレーターに乗って云々」と分かりにくい説明をしたきり。仕方ないのでそばにあったエスカレーターを下ってみたら、なんとこの女性が帰宅するところで、彼女の車は私たちが借りた車の隣にとめてあったのだ。


普通こういう場合なら「私も近くまで行くので、ご案内させていただきます」と言うのが接客業だろう。自動車メーカーだけでなく、レンタカー会社も日本企業に買収してもらって、従業員教育をやり直してほしいものだ。


こういうことがあまりに頻繁に起こるので、私はこれを人種差別のせいかと思っていた。私が黄色人種で不完全な英語を話すから馬鹿にされているのだろう、と。


今日のDr.Jのレクチャーはまさにこの接客業に関する話だったので、とても興味深かった。「インターネットで買い物をする人が増えている理由もよく分かります。店員の態度があまりに悪いから」。彼女の友人のスイス人男性は、アメリカの家電店で店員に商品についてたずねたら「あっちにあるから、自分で見てきて。買うときは言って」と言われてものすごく怒っていたそうだ。


なんだ、客の人種に関わらず店員の態度は悪いんだ・・・それを知って少し安心した。
その理由はといえば「ホワイトカラーがリストラされて、キャリアダウンして嫌々、接客業をやっているから」というのがDr.Jの説明だった。住宅ローンや子供の学費があるから「こんな仕事やりたくない」と思いながら多くの人が接客業に携わっているという。日本でもここ数年は正社員が減って非正規社員が増えているから、放っておくとアメリカの悪い面の後追いをすることになりそうで、嫌だ。


もちろん、アメリカの接客業でも親切な人はたくさんいる。私が知る限りでは、書店(バーンズ&ノーブルやボーダーズ)の店員、書店の中にあるカフェで働く人。彼・彼女らは商品について尋ねたときも、買い物をしたときも親切に対応してくれた。それからWholeFoodsで働く人々。前に苺を買ったときは、わざわざ入荷したての箱から新しいものを出してくれた。デトロイト空港で働くノースウエスト航空のおじさんは、私が空港内で道に迷った時、すごく親切に教えてくれたし。