今、滞在しているBryn Mawr(ブリンマー)は東京なら田園調布に当たる高級住宅地だという。


電車でフィラデルフィアの中心部まで約30分。そんなところに住んだのは生まれて初めてだ。実際、キャンパスを一歩出て周囲の家を見ると豪邸ばかり。神戸の異人館がそのまま街になったような感じで庭も広い。この辺りにお金持ちが多いことを示すのは、家だけでなくクルマ。レクサスをひんぱんに見かける。


東京では都心部に住んでいたのでクルマは必要なかったし、とても庶民的な地域だったからレクサスなんて見たことがなかった。販売店は高級感あふれる特別仕様だとか、よく売れているとかいう話は、私にとってはメディアを通じて知る情報でしかなかった。それがここでは、東京の住宅地で猫を見かけるのと同じくらいの頻度で、毎日たくさんのレクサスとすれ違う。なるほど、アメリカの富裕層に売れていると色んな記事に書いてあったのはこのことだったのか・・・。


ところで、レクサスに限らずこの辺りでは日本車を見かけることが多いような気がしていた。これが選択的記憶でないことを確めるため、キャンパスから歩いて5分ちょっとのところにあるBryn Mawr駅前の駐車場でクルマを数えてみた。水曜の午後3時20分時点で計45台が駐車してあり、うち26台が日本車。一番多かったのはホンダで12台、次がトヨタで7台、その次は日産で6台。スバルも1台。高級住宅地の駅前で57.7%を占めているとわかると、日本メーカーの好調ぶりをあらためて実感できる。


ちなみに、私たちに英語を教えてくれている大学生のO君が持っているのはマツダ車だという。「不調のGMを助けるために米国車を買おう、みたいな風潮はないの?」とたずねたら「確かに祖父の世代はそうかもしれない。彼はフォードしか買わないけれど、僕らの世代は米国製でもパーツは他の国から来ていると分かっているからね」とのことだった。現実的である。