苦手だし下手なので先延ばしにし続けていたクルマの運転練習を、今さらながら始めた。


金曜に個人レッスンを申し込んで、来てくれたのがパレスチナ出身の女性。在米25年だという。


2時間、市街地を運転練習しながら自己紹介、仕事や家族の話をしていた。彼女は高校を卒業してすぐに夫と一緒にアメリカに来たそうだ。子供が7人もいる。「パレスチナ女性はみんな子供が多いのか」と尋ねたら「男の子が欲しかったけれど、なかなか出来なかった。7人目が男の子だったのでそれでおしまいにした」とのこと。上の娘たちも医者など専門職に就いていて、米国内の各都市に住んでいる。


毎度のことだが、非英語圏出身の人と会うと、初対面にも関わらずプライベートなことを色々話したり尋ねたりしていることに気づく。お互い英語が母国語でないので「結婚してるか」とか「何歳か」といった不躾な質問をされてもしても、気にならないのだ。


彼女は元小学校教師だけに教えるのは上手く「スピードを落として」「止まらなくていいから、行って」と必要最小限の言葉で注意してくれるので、ありがたかった。


本当は冬休み中に練習しようと別の学校に申し込んでいたのだが、メールでやり取りしていた担当者がいいかげんで全然返事をよこさないので、あきらめて別の学校に申し込んだら彼女が来たのだった。夫婦経営で夫がクルマの修理などをして、彼女は子供用のクラスで教えたりもするという。電話の受け答えも真面目だった。


「小学校教師の仕事は楽しかったけれど、上司がうるさかった。自営なら好きなようにやれるし、頑張った分が自分たちのものになる」と彼女は話していて、働くモチベーションのあり方が、よく分かった。子育てしながら大学に通い教職を取ったとか、夫はアメリカに来て以来ずっと自営業をしてきたと聞いて、そのパワーと前向きさに頭が下がる思いがした。