今週の火曜に、中西部のある大企業本社でダイバーシティを担当する役員級の女性にインタビューした。


詳細は勤務先で後日、記事にする予定だが特に印象に残ったエピソードを紹介したい。


この人は4人もの子育ても経験している。彼女が第一子を作ろうとした20数年前「この仕事は大変だから、育児と両立は無理」と言われていたそうだ。でも、彼女は子供が欲しかったので産んだ。すると翌年は同じ部署で働いていた女性のうち4分の1が妊娠したという。他にも子供を持ちたい人はいたけれど、彼女のおかげで実行に移すことができたのだ。


授乳期間中に採用担当になった彼女は、面接に使う部屋の隣にもう一部屋押さえ、自費で雇ったベビーシッターに子供の面倒を見てもらった。このことは育児と仕事の両立が可能な会社との印象を与え、採用対象の学生に好印象を与えた。ちなみにこの企業は、日本で今、女性に最も人気がある企業のひとつである。


保育園が閉まる午後6時以降に会議が入った場合、子供も会議に"出席"した。こうした経験を振り返り「一番の障害は自分の気持ちだった」と彼女は言う。会社は子連れ出勤や出張について、一切、邪魔はせず、むしろ出来る限りサポートしてくれた。「こんなことをしてもいいのか」と躊躇する自分がいちばん大きな壁だったそうだ。


話を聞いていて日本企業での取材を思い出した。最近、ワークライフバランスのため、様々な制度ができている。時短勤務や男性の育児休暇、通学のための休職など枚挙に暇がない。「利用者は何人いますか」と尋ねると人事担当者は決まって恥ずかしそうに、そして残念そうに「まだいないんです」とか「1人です」と答える。


いちばんの責任は現場の管理職にある。実際、男性が育児休暇を取ろうとすると「規則はあるが実際には取れない」と、とんでもないことを言う管理職もいると聞く。本気でワークライフバランスを進めたいなら、こういう上司は降格するくらいの覚悟がいる。制度を作るだけで「能力のある女性」(を惹きつけるためにこういう制度を作る、と皆言う)を採用できると思うのは考えが甘いと言わざるをえない。もちろん、ビジネスパーソン1人1人も、今ある制度を積極的に使うべきだと思うけれど。


(写真:今日は朝から雪が降ったりやんだりしていて、少し積もり始めています)