先日インタビューしたのはリベラルな医師カップルだった。


夫婦共に30代で子供が2人。家事育児分担を妻は「50:50」と見ているが夫は「55:45で彼女の方がたくさんやっている」と考える。これまで読んだ本や論文は調査対象が自分の家事育児時間を実際より多く見積もりがちだとしていたので、この夫婦の考え方は興味深かった。


本当のところ、それぞれが何時間家事をやっているか正確なところは、タイムダイアリーをつけてもらったりしないと分からない。このカップルが面白いのは実際の家事時間ではなく、夫婦共に家事育児分担が公平だという感覚を持っていたことだ。


彼らはお金持ちなので、通いのナニーを雇っていたこともある。公的育児支援を必要としない富裕層だ。「政府はもっと育児支援をすべきだと思うか」と尋ねたら「自分たちには必要ない」という答えが返ってくるかと思ったら、意外にも「必要に決まってるわ!」と妻が即答した。自分たちは政府の支援を必要としていないが、友人・知人の中には保育料が高いので妻が仕事を辞めた例がたくさんあるためだという。


夫も「子供を持つのは個人の選択だから、政府は関係ない、という考えを持つアメリカ人は多いけれど、自分はそうは思わない。子供は大きくなったら様々な形で社会に貢献するのだから」と話す。こういう風に考えるに至った背景は彼らの生い立ちにあり、社会経済的な地位の低い人々に対して同情や共感を抱くような家庭で育ったそうである。やはり価値観を共有できる人同士が結婚するようだ。