昨日はある巨大企業で働く女性役員にインタビューをした。


オフィスを行きかう人は皆、適当なカジュアルだが、彼女は役員だけあって、ベージュのパンツスーツできちんとしている。大粒のパールのネックレスと銀のペンダントを重ねて、ショートヘアが似合ってゴージャスな感じ。写真入りで雑誌に出てほしいタイプだ。


労働時間は長く出張が多く、本当に大変そうだ。でも子供は2人いる。母親や姑の手を借りながら何とかやりくりしている様子。


実は以前、この企業で働くパートタイムの女性管理職に取材したことがある。管理職なのにパートって何? と驚いたが、そんなことが可能ならワーキングマザーにも朗報だと思った。


そこでこの人に「これまでパートで働こうと思ったことはあったか」と尋ねてみた。すると「ない」との返事。理由は簡単。実のところパートはパートではないのだ。


パートだと名目の週労働時間は32時間。でも実際は40時間働いているそうだ。フルタイムの人は名目の週労働時間は40時間だが、実際は60時間働く。パート勤務を選ぶことは「キャリア志向じゃない」しるしとみなされるから、出世に響く。どうせフルタイムと同じだけ働くなら、昇進できる方がいい ---- というわけで彼女はずっとフルタイムで働いてきたというわけだ。


残念ながらこういう話は広報が立ち会い、メディアとして取材するとなかなか聞けない。今回は社名も名前も個人情報は伏せるという約束をして守秘義務契約書にサインまでして話を聞いたので実情が分かった。ワークライフバランスのソリューションはそう簡単には見つかりそうにない。