生まれて初めて「VERY」を買って読んだ。


子どもがいると話してから、美容院で手渡される雑誌の中にVERYが入ってくるようになった。読んでみたら意外なことに、私のような「おじさん的おばさん」にとっても読むところがたくさんある。ふだんの仕事とまったく関係ない内容のため、リラックスできる。


最新号を買ったのは特集のタイトルに惹かれたからで、それはこういうものです。


読んでみると、テーマは「育児と仕事の両立」。いわゆるワーク・ライフ・バランスの話だが、ビジネス誌とはアプローチが正反対なのが面白かった。


ビジネス誌では当然のことだが「働いている」ことが前提だ。「一部に」子どもを持つ人がいる。その人たちがいかにして両立するかと考える。「仕事を持ってる」のが当たり前。「子どもを持っている」のは選択の結果。


一方、VERYでは「結婚して子どもがいる」ことが前提だ。主婦の「一部に」仕事を持つ人がいる。「子どもがいる」のが当たり前。「仕事をする」のは選択の結果。


ビジネス誌の場合は、仕事をしながら「育児をしていること」に、いちいち説明がいる。なるべく仕事の支障にならないように、どうやって家事や育児をやりくりするか。私生活はなるべく仕事に影響させたくない、という考え方が根本にはある。


VERYの特集に出てくるお母さんたちには、そういう暗い必死さが微塵もない。中にはベビーシッターや家政婦に育児や家事をアウトソースしてガンガン働いている人もいるのだが、そこに悲壮感はないのだ。


単に編集方針の違いといえばそれまでだし、配偶者の収入もかなり違うだろう。生活のために働く普通の女性と、自己実現のために働く奥さんを比べても仕方ないのだけれど、「家族が一番、仕事が二番」と言い切る潔さは、正直でかっこいいと思ったのだった。