国立台湾博物館。素敵な建物です。
入り口を入ると、こんな感じ。台湾の動植物などの自然、歴史に関する展示をさほど時間をかけずに見て回れます。多民族の国であることが随所で分かりました。
以外だったのは日本植民地時代に関する展示で、ここでは纏足をやめさせたことが肯定的に書かれています。少し驚いたのは、台湾総督だった後藤新平と児玉源太郎の銅像が展示されていたこと。この建物自体が日本植民地時代に作られ、戦後、日本関係者が引きあげ国民党支配下の時代には銅像は撤去されたそうです。その後、再び国立博物館に展示されていることに、歴史の移り変わりを感じます。
しかしながら、植民地支配に対する批判がクローズアップされていないからと、いって、安易に「親日だから」と位置づけるのは物事を単純化しすぎだと思います。旅行中に読んだ黄昭堂「台湾総督府」(ちくま学芸文庫)には、日本による台湾統治の実状が書かれています。
反植民地運動を弾圧し、小さな反抗も死刑に処したこと、台湾人には参政権がなかったこと、インフラ整備をしたものの、蓄財できたのは日本人が多かったこと、設置された大学に台湾人の入学数が非常に制限されていたこと等が分かります。およそ、搾取と差別のない植民地政策などない――という事実を踏まえる必要があるでしょう。