読書感想:ユージン・B・スレッジ「ペリリュー・沖縄戦記」

 

夏休み読書の中でも特に心に残ったもの。
著者はアメリカの鳥類学者。大学進学を前に志願して海兵隊に入り1944年秋のペリリュー島と45年春の沖縄戦を経験しました。激戦地で歩兵が見たものと考えたことが描かれています。
本書の終わりで著者が記すのは軍隊の友人たちと言いあった「住むに値する良い国ならば、その国を守るために戦う価値がある」(P467)という言葉です。日本兵については、一貫して「ジャップ」「ニップ」と呼ぶ、その視点は米軍兵士のものであり、極限状態では相手への憎悪がみなぎってくることも隠さず記しています。
 いかなる地獄だったのか、「第12章 泥とウジ虫と」をはじめとする全編に書かれていますが、引用は控えます。
著者は繰り返し書きます。「戦争は野蛮で、下劣で恐るべき無駄である。戦闘は、それに耐えることを余儀なくされた人間に、ぬぐいがたい傷跡を残す」(P466)。愛国心にかられ、戦争が終わる前にと急いで志願し入隊、厳しい訓練を経て兵士になり、地獄を見た末の結論は重く心に残ります。
けがをした友軍兵士をできる限り救護し、遺体は専用の袋に入れる様子、そして厳しい、時に理不尽なことを言う上官に関しても、彼が部下を殴るシーンがなかったこと(それは、必ずしも米軍内で暴力がないことを意味しませんが)もまた、印象に残りました。人道的だったのか人的資源を有効に使う合理的な発想なのか、もしくは両方だったのか。
 
 夏休み読書の中でも特に心に残ったもの。
 著者はアメリカの鳥類学者。大学進学を前に志願して海兵隊に入り1944年秋のペリリュー島と45年春の沖縄戦を経験しました。激戦地で歩兵が見たものと考えたことが描かれています。
 本書の終わりで著者が記すのは軍隊の友人たちと言いあった「住むに値する良い国ならば、その国を守るために戦う価値がある」(P467)という言葉です。日本兵については、一貫して「ジャップ」「ニップ」と呼ぶ、その視点は米軍兵士のものであり、極限状態では相手への憎悪がみなぎってくることも隠さず記しています。
 いかなる地獄だったのか、「第12章 泥とウジ虫と」をはじめとする全編に書かれていますが、引用は控えます。
 著者は繰り返し書きます。「戦争は野蛮で、下劣で恐るべき無駄である。戦闘は、それに耐えることを余儀なくされた人間に、ぬぐいがたい傷跡を残す」(P466)。愛国心にかられ、戦争が終わる前にと急いで志願し入隊、厳しい訓練を経て兵士になり、地獄を見た末の結論は重く心に残ります。
 けがをした友軍兵士をできる限り救護し、遺体は専用の袋に入れる様子、そして厳しい、時に理不尽なことを言う上官に関しても、彼が部下を殴るシーンがなかったこと(それは、必ずしも米軍内で暴力がないことを意味しませんが)もまた、印象に残りました。人道的だったのか人的資源を有効に使う合理的な発想なのか、もしくは両方だったのか。