読書感想:長澤信子「台所から北京が見える」

 

 すごく面白い。主婦が自分探しからはじめた中国語学習が観光ガイドや通訳の仕事に発展していく。
 著者は女性が大学へ行かず結婚したら家庭に入るのが当たり前だった時代に、子育て卒業後をどう生きようか真剣に考え、新聞に人生相談を送り、回答を手掛かりにタイミングを測り、必死で勉強する。
 家族のニーズに合わせて行う家事の合間、細切れ時間をいかに生かすか。出張で長期間家を空ける際、家族がいかに支えるか。夫はビール会社の取締役まで務めた人物らしく、昭和の家族なのですが、著者の行動力と前向きな力で切り開いていくのが素晴らしい。ところどころ、夫のコメントもあります。
  時代の制約がありつつも、精一杯生き切った人の話は読後感が良い。