カナダ・モントリオールの学会Work and Family Researcher's Networkで発表をしました

 カナダ・モントリオールで学会Work and Family Researcher's Networkで発表をしました。会場はダウンタウンにあるコンコルディア大学(写真左)です。

 仕事と家族をテーマに、様々なテーマでペーパーやポスター発表、アイデアの共有(写真右)などが行われました。プログラムはこちらです。

 私は64番のペーパーセッションで発表&司会をしました。私は男性育休推進に関する日本企業の取り組みと近年の法改正、特にコミュニケーション施策の有効性についてインタビュー調査をもとに話しました。制度論の文化認知的正当性、特に「当然視されること(taken for granted)」を変える可能性について。

 次の発表者はパーデュー大学の社会学者で、アメリカにおける最近の法改正(搾乳スペースの確保が雇用主の責任に)を踏まえた管理職や同僚、授乳しながら仕事復帰した女性にインタビューしていました。この方の研究も「当然視」「正当性」特に「文化認知的正当性」を重視しており、ディスカッションが有意義でした。
 最後の発表者はブリティッシュコロンビア大学のPhD  candidateで、中国の国営・民間企業における「母親ペナルティ」と「父親プレミアム」を比較した統計分析。相関の有無がクリアに表れており、それぞれ説明も明快でした。
 モントリオールのあるケベック州の関係者から「ケベックも日本と同様に充実した両立支援制度があるけれど、企業の意識を変えるのは難しい。日本の変化は何がきっかけか?」と尋ねられ、少子化がきっかけであり、労働力確保の観点から女性の社会進出が求められ、そのために男性の家事育児分担が政策で推進、企業文化でも正当化されつつある、と答えたら納得した様子でした。その後、米国の出生率は相変わらず高いけれど…と議論が展開。
 このあたりのロジックは日本にいると「当然視」されているわけですが、他の文化圏から来た人と話すと、そこには「面白さ」が含まれうることが分かりました。諸々、最近勉強したことを活用できて良かったのでさらに精進します。