米国のワークライフバランス事情が手に取るように分かる。

This Is How We Do It: The Working Mothers' Manifesto

This Is How We Do It: The Working Mothers' Manifesto

米国には子育てをしながら仕事を続ける女性が多い。本書はそうした女性たちの経験に基づいた問題解決方法を満載している。筆者は "Working Mother"誌を発行する企業の社長を務めるキャロル・エヴァンズさん。

会社には規定がなかったが、個別交渉でフレックス勤務を勝ち取った女性の話。企業経営者の視点から見た社内託児所のコストとベネフィット。子供が急に病気になり夫の手も借りられない場合はどう対処すればいいかetc・・・。2人の子供の母親である著者自身の経験に読者からの意見や体験談を元にまとめてあり役に立つ。

企業が育児支援をすることのメリットを示す数字がいくつも出てくる。例えば管理職・専門職女性の47%が子持ちであり、ワーキングマザーはもはや少数派ではないことが示される(p.150)。個別の事例としてはIBMの女性役員の65%が子持ちだそうだ(p.159)。ファースト・テネシー銀行におけるファミリーフレンドリー施策と従業員満足度の関係(p.136)といった具合だ。

ダイバーシティワークライフバランスに興味を持つ人の必読書だと思う。

私がこの本を読んだきっかけは、今月中旬に参加した専業パパの会議。著者のエヴァンスさんの夫も専業パパをしていたことから、サイン入り本を5冊、会議の主催者に贈ったそうだ。主催者が親切なことに、そのうちの1冊を私にくれたのだ。私の調査テーマ(米国男性の家事育児参加とそれが妻のキャリアに与える影響)を話しておいたところ、「きっと勉強になるはず」とのこと。読んでみたら予想以上に私の関心分野にぴったり。和訳が出たら日本のビジネスパーソンにもきっと役立つはずだ。