すでに色々なニュースで取り上げられ、こういう発言を批判する立場にある人はあらかた批判しつくしている。今さら感があるけれど、一応、意見を記しておきたい。


日本を離れているためか、第一報を聞いたとき全く驚かなかった。むしろ「これのどこがニュースなの?」というのが正直な感想。これまでも政治家による女性差別発言は山のようにあった。「産まない女に年金は払わなくていい」とか「バアさんは有害」とか。


アメリカでこんなことを言ったら、即クビである。ハーバードの元学長であるサマーズ氏の「女性は科学者に向いてない」発言がいい例だ。禊のつもりか、ハーバードは後任学長に女性をもってきた。


政治的正しさにこだわりすぎ、とアメリカを批判するのは容易だが、本気で女を指導的地位につけたいならこういう措置が必要だろう。


柳沢大臣に悪気はなかったと思う。講演当日も何度も「こんなたとえですみません」と言っていたし、その後も謝っていたし。発言を聞いた時、最初に思ったのは「スピーチライターつけないんだなあ」ということだった。不規則発言が出てしまうのは、何も考えずに話しているから。その程度のコミュニケーション能力でも大臣が務まるんだから、ぬるい国である。


こういう発言が許される土壌こそが、女性の社会進出を阻み、仕事と育児の両立を困難にし、半世紀にわたる少子化傾向を後押ししてきたのだ。今さらこんな発言を差別とか批判するのは遅きに失している。


私が怒りを覚えるのは保守的な政治家よりむしろメディアに対してだ。例えば大手新聞社で男性が育児休暇を取ろうとしたら「制度はあるが、そんなものは取れない」と言われた例を耳にしたこともある。大臣の差別発言を批判したり少子化を嘆く記事を書くのだったら、まずは足元を見直してほしい。そうでないなら、偽善はやめて「女は家で育児に専念すべし」という記事を載せるべきだ。