出国が明日にせまった。


一昨日はミシガンの日本人研究者の方々が連れ合いともう1人、今年卒業する方のために送別会を開いてくださった。それに私も参加。多人数で日本語で話しながら食事をしたりお酒を飲むのは、やはり楽しい。皆、私たちと同世代だが、大変に賢いので話していて面白かった。


この10日は引越し準備に明け暮れて、机や本棚、衣装引き出しなど大物家具を友達(やその友達)に引き取ってもらうため連絡して待ち合わせて運び出すのを手伝って、ゴミを捨てて、荷詰めをして郵便局でそれらを送って、ゴミを捨てて・・・の繰り返し。しみじみする暇もなかったが、やっと片づいてきた。


あらためて振り返ると、想像以上に得るものが多い1年だった。数えられるものをざっと挙げてみると、

・聴いたレクチャー、ワークショップ、トークなど・・・90本(今年1月〜7月まで)

・取材や招待講演に伴う旅行・・・22回

・日本の働く女性などについて話した機会・・・7回

・読んだ本や論文など・・・95本(冊) 

・インタビュー・・・カップル14組、女性4人、専業主夫約20人

連載記事・・・7回分


日本では「聞いて書く」のが仕事だから「話す」というアウトプットの手法はこちらで学んだ。限られた時間に様々な知識レベルの聞き手を前に、どの程度の深さ(浅さ)で、どのくらいファクトを入れて話すべきか。専門外の分野の学会発表も聞いてみて、「発見といえる数字やファクトを最初に話す」のがコツだと分かった。上手な学者のプレゼンは、ビジネスマンのプレゼン以上に、冒頭で核心をずばりとつく。逆に言えば、あれこれ言葉を飾るのはそのリサーチに発見がないことの証と言えそうだ。


もうひとつ学んだのは「日本についていかに話すか」である。最初のうちは「日本は遅れている」とか「ここがダメだ」と自虐に陥りがちだったが、回を重ねるにつれ、外国人には分かりにくい日本の良い部分を少しは説明できるようになった気がする。


また、わずか1年だが外国に住んでみて分かったのは、日本で「日本特有の問題」として議論されていることは、よその国でもやはり問題であるということだ。米国には色んな国の人が集まる。彼らと話してみて、ほとんどの問題は政府の非効率や人間の弱さに起因するもので、日本特有などでないと感じた。というわけで、今後は「日本は・・・」という安直な議論をする人(団体)を信用するのはやめる。それから、メディアで働く者の責任としては、「"日本は・・・"××が問題だ」と言う前にせめて欧米主要国と比べて、それが本当に日本特有の問題なのかよく考えてみたいと思う。