予想以上に良くない。制度だけを見ると、日本の方がずっと恵まれている。


アメリカ議会上下両院合同経済委員会の発表によると、Fortune100企業のうち4分の3は、母親向けに有給の産休育休制度を設けている。期間は6〜8週間。父親向けに有給の育休制度を設けている企業は3分の1に留まる。期間は約2週間。


優良企業で「この程度」というのが正直な感想だ。


一方、日本女性は有給の産休を14週間、育休を約1年間取れる。取得実績こそ少ないものの、制度上は男性だって1年間取得可能だ。これは法律で決められた最低限の権利だから、もっと手厚い企業はたくさんある。


こうして全体像を俯瞰して見ると、あらためて、アメリカの制度が厳しいこと、日本の制度はそう悪くないことが分かる。それなのに、仕事をしながら子供を持つのが難しいのは、制度以外に問題があるためだ。


仕事と育児の両立が自分自身の問題になって感じるのは、制度もさることながら、勤務時間の柔軟性や成果主義的評価、夫の育児分担が重要ということだ。私の場合、極論すれば、原稿が〆切に間に合いさえすれば、会議がない日はオフィスにいなくても咎められない。記事には署名が入るから、こなした仕事の量と質は上司の目に明らかだ。実際、〆切時期はオフィスのパソコンでゲラの直しをするので、完全在宅勤務は無理だが、工夫すれば週2日か3日出勤も可能だ。連れ合いもフレックス勤務、完全成果主義の業界で働いているから、育児参加は当然という意識。私が職場復帰する段階では公立の保育園に入るのは無理そうだが、ベビーシッターなどを利用すればどうにかなるだろう。


それもこれも、私と夫の勤務形態がフレックスであること、評価が成果ベースであることに尽きる。どんなに長く手厚い育児休暇制度があっても、夫が長時間労働で全くあてにならなかったら、こわくてとても産めない。


昨日、アメリカ女性2人をインタビューして、それを確信した。1人は4児の母、もう1人は2児の母で、共に数年から10年の主婦生活を経て再就職している。詳しくは後日記事にする予定だが、夫の家庭参加はやはりキーポイントだった。


日本はすでに制度はあるので、問題は実効力だ。以前聞いた話だが、育休取得を申し出た男性社員に「制度はあるが、そんなものは“取れない”」と言い放った管理職がいたそうだ。私が少子化担当大臣なら、こういう企業には、業績に響くくらい多額の罰金刑を科す。また、個人が奴隷根性を捨てて、使える権利は行使するのも大事だ。