日本の社会保障や財政がめちゃくちゃになったのは、「若年差別」のせいだ。


概要を知ってはいたが、年金財政や高齢者医療費の数字をあらためてネットで確認して愕然とした。こんなの持続可能なわけがない。ここまでおかしなことになったのはなぜか。


答えは簡単で、20代・30代の声が政治に反映されていないためである。


日本の国会議員は衆参合わせて約720人。国会議員の名鑑・ぷぶりすてらによれば、20代の議員はわずか2人、30代は60人。合計62人で全体に占める割合は8.6%にとどまる。


若い政治家がいかに少ないか。8.6%という数字は日本企業における女性管理職のおかれた状況と似ている。部長職に占める女性割合は8.8%(平成18年度・厚生労働省「女性雇用管理基本調査」)だ。


この数字は通常、次のように解釈される。
「日本企業は女性を差別しているから、上級管理職が非常に少ない」。


同じ理屈を当てはめれば「日本社会は若年層を差別しているから、国会議員が非常に少ない」ということになる。


あと数年で平均寿命を迎えようとする人たちの集団に、長期的な国家の利益を考えるインセンティブがあるわけがない。あと一期、もう一期勤め上げて議員年金をもらうことが彼らの利益を最大化する術だ。結局、暇があり余っていて声が大きい人たちの利害ばかりを代弁することになる。


日本にはいくつもの政党があるが、ひとつとして、若年失業問題や育児支援を「後期高齢者問題」より優先的な課題としてあげているところはない(少なくとも私がネットで調べられた範囲ではありませんでした。もし、あったら教えてください。訂正します)。一応は民主国家だけれど、選択肢なんてあってないようなものだ。


先日、電車内で会った非常識な老人の顔が頭から離れない。私の税金は彼の年金じゃなくて同世代の非正規雇用の人たちの医療費や育児支援に使ってほしい。彼・彼女らが病気や怪我をした時、医療費の支払いに困ったという話を直に聞いたことがある。やってられない気持ちになった。マイケル・ムーアが『シッコ』で描いた世界は私のすぐ隣にある。子どもをもう1人つくりたいけれど、雇用が不安定だから躊躇すると言っている人もいる。こういう人たちをサポートするために、私が払った税金を使ってほしい。


10分の1以下しか代表を送っていない私たちの世代から税金をむしり取るのはいいかげんにやめてほしい。今のまま課税するなら、負担に見合った数の国会議員を20代・30代に割り当てるべきである。女性議員の増員策については、すでに色々と議論されているが、女より若者が優先じゃないかと思う。