昨年12月に発表された世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数、日本は121位で過去最低、先進国最下位でした。
北海道新聞の「親と子サンデー」にて、ジェンダーギャップについて、どうしたら良いのか、解説しました。私の提案は「まずは家庭内の男女平等から」です。家事育児介護看護などの無償ケア労働を女性ばかりがやっていないか、チェックして他の家族メンバーが分担していきましょう。
見出しは編集部でつけています。私は、この見出しに正面から答えるなら「知見がないなら、せめて黙っている知性を持って下さい」と言いたいです。国会議員など、公的な職だから育児参加できない、などという話は、欧米先進国では、ほぼ聞きません。
何も知らないなら、せめて黙っていてほしい。次世代のワークライフバランスを邪魔するな。そして、問題を小泉大臣に対する支持不支持に矮小化するメディアの議論も、きわめてばかげている、と私は思います。
記事は編集部判断でマイルドになっていますが、この問題について私はラディカルな立場です。
駐日スウェーデン大使館でパパ育休に関するセミナーが開かれ、モデレーターをしました。
ペールエリック・ヘーグベリ大使、ヘレン・フォン・ライスIKEA日本社長、仲井嘉浩 積水ハウス社長が登壇し、組織のリーダーから見た男性育休の重要性について話しました。
積水ハウスは仲井社長の発案で子どもが生まれたすべての男性社員が1カ月育休を取れるようにしています。これまで1700人が取得しました。きっかけは出張でスウェーデンを訪れた社長が、公園でバギーを押すたくさんのパパたちを見たこと。
ちょうど、日本でも30代男性の家族観が変化していると感じていた仲井社長は帰国後すぐ、社内でも男性育休完全取得を取り入れました。
IKEAはグローバル戦略の中にジェンダー平等が入っています。ライス社長は自身がワーキングマザーであり、従業員が男女問わず仕事も家庭も大事にできるような人材マネジメントを実践しています。
イベントの最後にサプライズとしてスウェーデン大使館で働く外交官パパ達の中で育休をとった人たちが登場しました。外交官=重要な仕事だから、家庭のことは妻任せではありません。大使自身が2人のお子さんの父親であり、6カ月、8カ月と2回の育休を取得しています。
懇親会には武田良太大臣(国家公務員などを担当)が出席し、自身が視察したスウェーデンの男女平等、女性活躍の様子を感慨深そうに語りました。「女性が活躍する背景には男性が家庭を支えていることがある」「自分は娘の育児に関われなかったが、これからの世代はそうではいけない」と、国家公務員の男性育休推進について熱意をもって話していたことが印象に残りました。
私は2006年にフルブライトでアメリカに留学した際、女性の社会進出をすすめるためには男性の家庭進出が必要と考えており、調査研究に基づき本を書いたりしました。15年強経ち、こういう発想が一部先進的な人だけでなく、広がりを見せていることが嬉しいです。
年明け1月8日から13日までインドネシアの首都ジャカルタで女性起業家やその支援者を取材しました。個別事例については、これから記事を書いて紹介するので、ここでは、全体感のようなことを記してみます。
インドネシアは人口が2億5500万人(外務省調べ)、毎年500万人増えているそうで現地で働く日本の方から「毎年シンガポールがひとつ加わっている規模」と聞いて驚きました。世界では中国やインド、米国に次ぐ大国です。
経済成長率は年5%程度。伸びゆく新興国で勢いを感じます。首都ジャカルタには、六本木のミッドタウンやヒルズを彷彿させるきらびやかな高層ビルやショッピングモールがいくつもあります。
今回初めて行って驚いたのはセキュリティーの厳しさ。泊まった外資系ホテルでも、モールでも、荷物検査を受けます。取材で訪れたオフィスビルでは受付でパスポートと引き換えに入館証を受け取る厳重さ。聞けば、私が泊まったホテルでも2009年に自爆テロが起きたそうです。
背景には様々な要因がありますが、中でも経済格差が大きいことは、日本から行くと驚くと思います。東京都心部のようなビルで買い物をして働く人の数メートル先に、その日暮らしのような人が昼寝をしていたりします。
政府も格差是正の方策はとっているようですが、手が回らないようで、今回取材した女性起業家や投資家は、こうした現状を自らの手でビジネスや投資行動を通じて改善したい、と話してくれました。
「私たちは高い教育を受け、恵まれた環境にいる。その恩返しをしたい」と異口同音に述べる20代の女性起業家たちと、彼女達を支える年上の女性たち、そして社会起業家を支援する男性たちと話をして、リーダーシップや公共性などについて、考えることが多くありました。
全般に人々が親切で笑顔で迎えてくれることが多く、ありがたく感じました。
お正月早々に都内で起きた悲しい事件について、福祉政策が「届かない」問題として捉え、現代ビジネスにコラムを書きました。企業も注目するSDGsは「誰一人取り残さない」がスローガンです。これをお題目で終わらせないことが大事です。